Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

バナナ・パラダイス

ワン・トン(王童)=監督、1989年台湾
戒厳令解除されたあとの台湾映画。秘めたものがパワーを伴って弾け出てくる感じ。作風が、自由すぎる。
ハチャメチャだが、よく考えると恐ろしい話だ。にも関わらず、悲壮感が驚くほどないのは不思議なところ。
共産党のスパイと間違われる恐怖、すぐに拷問される。それを恐れて、他人になりすまして必死に働くこと。ネタバレになるが、なりすました人は、赤ん坊の父だけじゃなくて母もだった、という衝撃カミングアウトに言葉を失ってしまった。外省人がたいそう苦労し、ある意味普通じゃない社会を生き延びなければならなかったこと。バナナ農園の家族(内省人)が、大変おおらかなのとは対象的である。
台湾が豊かになっていく様子が手に取るようにわかる(参考:ドライビング・ミス・デイジー)。
中国人が家族を想う気持ちは、台湾に行っても続いていて、「気が触れた」兄貴を最後まで面倒見るなどは、中華を感じたなあ。