Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

煙突の見える場所

五所平之助=監督、1953年日本(新東宝
田中絹代上原謙高峰秀子

東宝という映画会社、東宝は一回潰れたのか?

千住に縁があるので、以前から見たかった映画。お化け煙突が見える東京下町の庶民の話。意外や意外、五所平之助の映画は初めて観た。千住火力発電所の煙突は、実際に立っているのをこの目で見たかったな~と思う次第。土地勘はあるので、千住の土手の風景は70年前はああだったのかと思うと楽しい。土手の上をバスが走っていたが、今はどうなんだろう。

上原謙田中絹代の夫婦。妻の方は再婚。前夫を戦争で亡くしているため。
上原謙の小市民ぶりや嫉妬の仕方に時代を感じさせる。田中絹代が競馬場でバイトをしてお金を貯めたことに対して「俺の稼ぎじゃ不満だというのか」、これモラハラ。子どもを厄介者として扱うのも、倫理的に相当どうなの、と思うし。
下宿をまた貸しするのもどうかと思うし、しかも2階の2部屋は、それぞれ独身男と独身女が住んでいるが、ふすまを蹴破れば、簡単に隣の部屋に侵入できる仕様。これほどまでに東京の住宅事情は悪かったのか~と思う作品。