Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

機械安全(生活支援ロボなど)

所内で話を聞く機会あり.イノベーション途上の分野にはあるあるネタだが,かなり衝撃を受けた.
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福祉系,介護系のロボットは,製造者側がリスクアセスメントすらできていない場合が多い.
考え方が理解できない,不慣れ,がその主な理由.取りうる限りの対策を尽くしたというレベルにはまだない.
一方で利用者から「絶対安全なんですよね」と聞かれる.残余リスクがあることを説明すると「では使わない」となる.
無過失責任となるのが理想だが,そこまで成熟していないのが現状.
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溺れ検知センサーの誤作動の話.ある企業では「なければ元々溺死だった.センサーがあることによって助けられる可能性が増えたのだからOK,良い方に触れるのだから良しとしないと進まない.」しかし,センサーの誤作動が責任問題になってしまう現実がある.
同じことはAEDにも言える.AEDは大企業ほど導入を渋った.理由は上記と同じで,「AEDがあったのに使い方がわからなくて右往左往しているうちに死んだ」となるのが一番困るから.また,産業医が導入に反対した.使って人が死んだ場合の責任を問われると困るため.
手術ロボは人の命がシビアに関与するのでもう少し丁寧な議論が必要になる.米国FDAの調べによると米国では「機器の不具合に起因する重篤な事故」は手術ロボ全体の17%にのぼる.それでも自己責任で使用(したい,してくれ)という流れになっている.
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この辺の考え方の整理に,許容できるリスクレベルの話を入れないと.それも結構急ぎだ.