Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年

塩野七生=著、新潮文庫
読みたい読みたい!と呟いていたら、ボードゲームでお世話になっている仙台の友人が貸してくれた。ま、彼には「ローマ亡き後の地中海世界」を貸したから、持ちつ持たれつだが。
勃興期のローマ帝国もそうだが、こういう、ヴェネツィアみたいに実を取ることに徹し、頭を使って強かに伸びていく国って、激しく好み。属人的でなく、システムで国を強くして行く、頭いいなあ。交渉のセンス。何が強みかをよく知っていて、それを伸ばすために最適化するという、シンプルな方針。なぜか美しく感じる。公平なルールを作ることで平和を担保している。
行きたい場所がまた一つ増えた。水没する前にヴェネツィア行かねば。
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160612読了。
ヴェネツィアの素敵なところ。どんなにピンチ(e.g.戦況が不利)でも、大きな帝国に組み入れられた時でも、「通商の利を求め」「あらゆる情報に目を凝らし」「制約を排して行動の自由を得ようとする」市民としての生き方を貫いているところ。「」内は解説の池内恵先生の言葉の引用。
14世紀から既に、矛盾(制約)に向き合って、智恵で乗り切ってきた姿が気持ちいい。最後はナポレオンという力の権化みたいな人にねじ伏せられちゃったけど。そして、19世紀半ばにイタリア共和国に組み込まれた後は、このヴェネツィア精神が英国を通じて新大陸に渡ったのかな、などと考えてみた。