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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

捏造の科学者 STAP細胞事件

須田桃子=著,文藝春秋
本書から新たに得た情報は少なかった.しかし真相解明とは言わないにせよ,小保方氏の立場はすごくわかった.何一つ悪意がない(だから無罪だ),は本当なの?と思っていたけど,やりとりを公開してもらって,そりゃそうだ,悪意はないな,とわかった.
単に,基本的な科学者としての教養が欠けていたことは確かだろう(ただし,こんな方がNatureに投稿してはいけないと言いたいわけではない).万能性を示すOct4という遺伝子が働いたことはご本人が200回以上確認されている,しかしそれだけではSTAP細胞の存在を証明するには必要十分ではない.このことをご本人が理解してない,と推察されるやりとりが散見されたからだ.
それ以降は周囲のベテラン先生方がフォローするべきなのに,そういう方々のなかで,「万能性遺伝子の陽性確認からSTAPキメラマウスの作成まで」すべてのステップに立ち会った人はいないらしいのよね.明らかにこれは問題.どんなに偉い立場の方も一次データに一度は触れるべきだよなあ.
まだ最後まで読み終わっていないけれど,「STAP画像」の正体は混入したES細胞らしい.しかし,どの段階で誰が”すり替えた”か,それに悪意はあったか,は多分本書にも出て来ないとみた(早く読もう).