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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

内田樹の大市民講座

内田樹=著,朝日新聞出版
AERAの連載コラムを一冊にまとめたもの.今まで読んでいた内田センセの文章より短くて(900字)少々読みにくいためワタシ好みというわけではない.コラムで触れられているネタを全く知らないとキツイのでまるごとスルーしちゃうこともあった.ただし逆にネタをよく知っていて激しく首肯するものもあり.
最後に載ってる『失敗に「備えない」のが日本のデフォルト』については,そのとおりだな,と思う.「エアポート '77バミューダからの脱出」という映画をひいて(内田センセがこういう映画を見ているというのも面白い),『アメリカというのは(中略)「ありえなさそうな危機」を想像し,その対応策を講じておける知性を高く評価する文化があるということである』だそうな.
リスクという考え方,リスク評価が根付くのは文化の違いなのでしょうか...私は,アメリカが戦争慣れしていることの現れだと思っていたんだけど,どうなんだろ.アメリカにとって戦争は"しなくちゃいけないもの"で,戦争によって人命を落とすこともまた避けられないとすると,思考停止などとという甘い態度は到底許されないから.「じゃあ,何人までなら死を許容できる?」「何人以上戦死者を出したら撤退する?」みたいな計算が,必然的にシビアにできるようになっちゃうんじゃないかと思うのよね.その知恵をすべての分野に応用している,ってだけなんじゃないかと思った.