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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

邪悪なものの鎮め方

内田樹=著,文春文庫
タイトルと内容は,狙ったのか?ってくらい合っていない.面白かった.

ベトナム戦争のときの日本人の支配的な心情を一言で言えば「疚しさ」である(p.144)

キター,いきなりの内田節.こういう文章が大好きである.
わたしは全共闘世代でもないし70年安保の時に生まれてもいないが,ただただ共感.私が3.11後に感じたことはこれだ.生き残ってしまった者の「疚しさ」である.ただただ,意味もなく「ごめんなさい」な居心地の悪さ.「疚しい」以外にどう表現してよいかわからないのだ.

マルクスは私たちの思考に「キック」を入れる

これもビックリ.内田さんは文章を書く前にマルクスを読む.マルクスを読むのは,テキストそのものの意味をあーだこーだと考えるためではなくて(むしろそれには適していないそうな),自分が書くためのウォーミングアップなんだって!こんなに文章が書ける人でも「他人の力を借りて」いることに衝撃を覚えた.マルクスのテキストって自分の思考の幅を広げてくれるんだとか.内田さんの他にも,このためにマルクス読んでる人いるらしい.
その他「ゾンビ」について.実体がないものを恐れる.「ナイアガラー」が大滝詠一ファン,もしくは”大滝詠一教”信者のことだとか(たしかに,大きい滝!勉強になるわー).