Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

ワンダフルライフ

是枝裕和=監督,1998年日本
なんとも味わいのある,落ち着いた作品.是枝監督,やっぱ好きだわ〜.
設定はぶっ飛んでる.亡くなられた方に「人生で一番思い出に残ったエピソードは何ですか?」と聞き,そのエピソードを再現する映画を撮る.その映画を観終わって初めてあの世へ行ける.映画撮影の仕事をしている男女(当然,この人達もこの世にいないwww)の人間模様,プラス亡くなられた方の生前の人間模様も淡々と描いている.
テイストの近さでいうと,森田芳光監督の「(ハル)」の感じ.観ている間中,ずっと夢を見ているようなそんなぼんやりした感覚にとらわれっぱなしだったから.まず,年代不明,日本のどの街かも不明.そして湿度の高い空気の,ほんわかなぼんやりした感じ.ロケの建物は昭和初期の建築物(例の,スクラッチタイルの赤いレンガ.東京にある中央水産研究所だったみたい),タイムスリップしてるのか現代なのかわからない,ファンタジーなんだからいいじゃん,みたいな.
是枝監督も初期の頃は,現実にはない設定の映画を撮ってたんだね.それにしてはリアリティ溢れまくってたけど.
亡くなられた方に無名の役者(あるいは素人なのか)を多く起用してる,とあったけど演技が演技じゃない.ものすごく自然なの.だから他人の人生をちょっと覗き見したような気分.カメラが回っていることを忘れる,この手腕は本当にすごいわ.
映画撮影隊のみなさんは,言うなれば,天国で仕事している天使みたいなもんなのよね(寺島進が天使?ってイメージと違いますが).なのに妙に人間臭くて面白い.待ち時間に将棋打ってる谷敬とかwww.ARATA良かった,このごろで言うところの草食男子なんでしょうか,カッコいいくせに淡々として押しが弱い.そして,小田エリカさんという女優さん,そんなに目立った特徴はないのだけれどキリッとしていて美人だった.香川京子が友情出演w