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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

代替医療のトリック

サイモン シンSimon Singh(著), エツァート エルンストEdzard Ernst (著),青木 薫 (翻訳) ,新潮社 (2010/01)
この本を買ったキッカケはホメオパシー.知人がお子さんにレメディ玉を与えて「○○ちゃん,今日はこれで落ち着くかな?」って言ってるところを実際に見ちゃってショックだったから.その知人はとてもいい人だし,そんなもの=似非科学にハマるのはお金の無駄だということも分かりそうな人なのに.なんでそこで入れ込んじゃうかな,と不思議だったから.折りしも民主党代替医療に保険適用するか否かを言及し,実情を知っておくのも悪くない.ということで.
ホメオパシー関連で、勢いで買ったこの本もなかなか読みごたえがあった。リンパドレナージュカイロプラクティック、整体など普段からついつい宣伝を目で追ってしまっていたほか、肩こりがひどいときには行こうかどうしようか本気で迷う日々。しかし、そんなのバカバカしいと思うようになった。プラセボ治療を認めるかどうか。私は当初認めてもよい、とにかく効けばよいと考えていた。しかし、それは違う。「われわれがプラセボに基づく代替医療は用いるべきではないと考える主な理由の一つは、医師と患者の関係が嘘のない誠実なものであってほしいと思うからだ。」インフォームドコンセントの考え方が普及し、説明を尽くし信頼関係を築いて病気に立ち向かうシステムの中で、プラセボというのは完全に矛盾する。そして、偽薬の効果に頼っていては真に科学的に有効な薬や治療法を見つけだすのに大きく遠回りしてしまう、ということ。患者のためを思ってプラセボの、気休めの治療法に頼ることは、やはり百害あって一利なしなのだ。真の原因を見つけ逃げないで立ち向かうために。