Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

フードセキュリティ―コメづくりが日本を救う!

山下一仁 (著) ,日本評論社
汚染米問題の根本原因はミニマムアクセスを受け入れていることにある.
だから帯の文句は”食の安全+食料安全保障=フードセキュリティ”
上記「農協の大罪」より分かりやすい.新書より専門書の方が分かりやすいって,どうよ(笑)・・・2冊目ということで予備知識が入っているからなのか.
それにしても第二次大戦前〜戦中〜戦後数年で農地を取り巻く制度はドラスティックに変わったことをいまさらながら思い知った.農地解放の実施は一歩間違うと農村が共産主義化する恐れがあったこと.それがGHQにとっても自由党にとっても最大の懸念事項だったことは初めて知った!!!共産主義化だけはどうしても避けたいGHQと大票田を確保するために農村を保守化したい自由党との思惑が一致した結果,”農協”という組織が瞬く間にできてしまったのだ(戦前の「産業組合」+「農会」=戦後の「農協」).農協は民主主義的に農民のボトムアップで立ち上がった組織ではなく,戦前の組織が看板を架け替えただけだった,というのが面白い.
まあそういうわけだから,「農協の大罪」の項でも書いたようにおかしなことになっていくのだが.

米価を下げてコメの生産を抑制し需要を拡大し,麦価を上げてムギの生産を拡大し需要を抑制させるという正しい経済政策が適用されるべきでした.(p.134)

政策的には要するにどうすればよかったかを一言で言うと↑のようになる.私は,日本で麦が作られないのは,日本の気候が小麦生産に適さないのだと勝手に思っていた.政策的な価格インセンティブがあったことは知らなかった!
もう,農協なんかなくしちゃって,農協に頼らず自発的に戦略(技術面,経営面も)をうてる専業農家が栄える時代になることを切望.コメの値段はもう少し下げて,ガンガン作って余ったら輸出!
・・・以上,現在,大規模専業農家から直接コメを買ってる1市民の感想.美味しいのはもちろん,有機栽培で低農薬(=高コストのはず)のコメなのに市場から買うよりあまりにも安くて,なんか変だなあ,と疑問を持ったので読んでみた.やはり消費者米価は高すぎるよ.