Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

タイタニック

映画漬けの日々もあっさり終わり。夫と娘と賑やかな日々が戻ってきた。
今回のシリーズ最後は、「タイタニック」。ハッキリ言って、これは面白かった。この映画を褒めるのはツウの間では恥ずかしいらしいが、私は褒めるぞ。今までなんで観てなかったのだろうと後悔した。
観ていなかった理由はいろいろある。3時間以上と長いこと。前評判や宣伝がディカプリオとケイト・ウィンスレットの恋愛部分しかクローズアップしていなかったため(特に船首に立つシーン)、ケッと思っていたこと。あまりにも有名すぎるのは見ない主義であること、等々。
観た理由は、三谷幸喜和田誠との映画対談集「それもまた別の話」で取り上げていたこと。最近読んだ統計の本で、タイタニック号乗客の属性を「船室のクラス」「性別」等でカテゴリー化し、そうすることによって助かった人の割合を「予測」するという例に用いていたこと(実際のタイタニック号では本当に階級などで差があったのか、勉強するのも億劫なので手っ取り早く映画を観ようと考えた)。3時間を越える映画もインド映画からするとそれほど長いとは感じなくなっていること、等々。
マイナスの評価点から先に書くと、ケイト・ウィンスレットが最後まで魅力的だと思えなかったこと。アジア映画を観ていると、どうしても肌の美しさとか、化粧の自然さとかはアジア女性にかなわない、という印象を持ってしまう。本当はこれは差別的なんだけど。特にキュートでもないし、目の覚めるような美人でもない。少しきつめの普通の西洋人という印象が最後まで抜けず。ヒロインに感情移入できないと恋愛映画はほとんど入り込めないので、その点ではつまらなかった。
ただし、その他は大いにプラス評価である。レオナルド・ディカプリオの強引とも言えるアプローチ方法は、韓流ばやりの今では目新しくはないが、女としてはクラッと来るので花丸。そして、最後までカッコよし。日本男性も自信をもって女を口説いてもらいたい、と常々思う。ちなみに、この映画では驚いたことに恋愛のシーンは半分くらいで、あとの半分はアクション+乗客たちのエゴが渦巻く人間模様といえるものだった。だから退屈しなかった。
一番強調したいのは、スケールの大きさ、タイタニック号の精密な再現に相当なエネルギーを費やしているところ。船が沈没するシーンで莫大な量の水を使うが、たぶんセットを組んで撮影しているのだろう。相当大変だったに違いない。この地道な努力を大いに褒めたい。200億円かかってるんだから当たり前だ、とかそんな意地悪なことは言わず、これだけの巨額を映画というたかが娯楽につぎ込めるアメリカの姿勢をきっちりと評価すべきである。日本は、太刀打ちしようなどと考えずに独自路線でいくべきである、ということがハッキリと分かった。
船の内装、上流階級の人々の服装や持ち物、インド映画でもそうだが、なめるように見てしまう。甲板がめりめりと裂けるシーンでは、使用している板(木材)の薄さが気になったが、その他についてはアール・デコ(たぶん・・)の内装とか、エンジンルームとか、本当によくできていた。120点つけたい。
パニック状況に置かれた人々の行動と家族を思う気持ちについても丁寧に描かれていて、泣きっぱなしだった。母子と父親が離れ離れになるのが本当に辛かった。早く夫と子どもに会いたくなった。