シドニー・シビリア＝監督、2017年イタリア
三部作の完結編をようやく見ることができて満足。
ローマの乾いた空気が大好き。
男女で分けるのはどうかと思うが、この映画に出てくる男性はお馬鹿で陽気、女性は人生の悲哀をたっぷり表現していて、それもすごく好き。
「セビリアの理髪師」のシーンが良かった。アリアを歌っちゃう、太っちょの化学者がツボ。
死との約束
3月6日、フジテレビ土曜プレミアム
原作：アガサ・クリスティー「死との約束」
三谷幸喜がアガサ・クリスティー作品の舞台を昭和30年の日本に置き換えアレンジ。
前回は「オリエント急行殺人事件」だったな。ポワロはやはり野村萬斎。
本堂夫人を松坂慶子が演じていたことに全く気が付かなかった（大汗）。
注射器による殺人シーンが繰り返された（殺人者が変わるだけで、シーンとしてはほぼコピー）のは、あり得ないしつこさで、この辺が三谷幸喜なんだが、「ハリーの災難」を思い出した。
OMG: Oh My God!
邦題：オーマイゴッド 〜神への訴状〜
ウメシュ・シュクラ＝監督、2012年インド
アクシャイ・クマール、パレーシュ・ラワール、ミトゥン・チャクラバルティー
アクシャイ・クマールは、サルマン・カーンか？と一瞬間違う正統派イケメンの俳優。
この映画の主役はパレーシュ・ラワールが演じる、ムンバイの中産階級オヤジ、カーンジー。
カーンジーは無神論者だが、日本でいう仏具屋を営んでいる。いや、仏具屋ではなくて、インドの神様、ガネーシャとかシヴァの像や聖水（ボトルに水道水を詰めているだけ）を、マージン乗っけて売っている、なかなかに胡散臭い商売をしているオヤジ。見方によっては有能なビジネスマンともいえるのであるが。
ムンバイに局所的で軽微な地震が起こり、倒壊したのはなんとカーンジーの店だけ。カーンジーは神を相手に訴訟を起こすことにする。
インドで宗教を全否定する映画を作っちゃって、大丈夫なの？と思い、ハラハラしながら見る。
神を相手に訴訟って、実際どうするの？という点も興味津々。事なかれ主義の保険会社社員や、裁判で弁護には回らなかったけれど知恵を貸してくれる有能な弁護士が出てくるのも面白い。
アクシャイ・クマールがバイクに乗り、スーツを着た現代の神、クリシュナになって現れる。いつも微笑んでいて、余裕の表情。時に重要なアドバイスをしぃの、なんじゃこりゃ～。
神を訴えるとは！と最初は周囲から四面楚歌だったカーンジー。しかしTVのトークで巧みな話術を見せ、神に対する本質的な疑問をぶつける真っ直ぐな姿に、人々の心は動かされてゆく。
宗教者に妄信的に喜捨して、自分の人生を（外部にいる、偶像化された神に）丸投げするのはNG。結局、自分の中に神はいて、どうするかは自分が決める、という真っ当な落ちでほっとしたところ。
B級という予想に反して、とてつもない社会派映画でありました。
二酸化チタンのMFA（ES&T）
Size-Specific, Dynamic, Probabilistic Material Flow Analysis of Titanium Dioxide Releases into the Environment
Yuanfang Zheng and Bernd Nowack
Environmental Science & Technology Vol. 55, No. 4 pp 2392-2402
Most of the existing exposure models for engineered nanomaterials (ENMs) do not consider particle size, crystalline forms, and coating materials that all may influence the material’s fate, transport, and toxicity. Our work aimed to incorporate particle size distributions into a material flow analysis (MFA) to develop a size-specific, dynamic, probabilistic MFA model (ss-DPMFA). Using titanium dioxide (TiO2) as a first case study, we aimed to determine the contribution of conventional TiO2 pigments to the total amount of nanoscale TiO2 released into the environment. Besides providing information on mass flows, the new model used particle size distributions and crystalline forms to describe the stocks and flows of TiO2. The most striking modeling result to emerge was that before TiO2 ENMs came onto the market as such in 2000, 22,400 tons of nanosized (<100 nm) TiO2 particles had already been released into the environment, originating from conventional TiO2 pigments. Even in 2016, 50% of the nanosized TiO2 particles released into wastewater came from the nanosized fraction of TiO2 particles in pigments. Quantitative data on the particle size distribution of TiO2 particles released into the environment can be used as input for environmental fate models. Our new ss-DPMFA model’s additional insights about crystalline forms and coatings could pave the way for advanced size- and form-specific hazard and risk assessments for other nanomaterials in ecological systems.
人工ナノ材料（ENM）の既存の暴露モデルのほとんどは、粒子径、結晶形態、およびコーティング材料を考慮していないが、これらはすべて材料の運命、輸送、および毒性に影響を及ぼす可能性がある。我々の研究では、粒子径分布を物質移動解析（MFA）に組み込み、粒子径に特化した動的確率論的MFAモデル（ss-DPMFA）を開発することを目的としています。最初のケーススタディとして二酸化チタン（TiO2）を用いて、環境に放出されるナノスケールのTiO2の総量に対する従来のTiO2顔料の寄与を決定することを目的としました。新しいモデルは、質量流量の情報を提供するだけでなく、TiO2のストックとフローを記述するために粒度分布と結晶形態を使用しました。最も印象的なモデリング結果は、2000年にTiO2 ENMが市場に出回る前に、従来のTiO2顔料に由来する2万2400トンのナノサイズ（100 nm未満）のTiO2粒子がすでに環境中に放出されていたことでした。2016年でさえ、廃水に放出されたナノサイズのTiO2粒子の50%は、顔料中のTiO2粒子のナノサイズ画分に由来していました。環境中に放出されたTiO2粒子の粒度分布に関する定量的なデータは、環境運命モデルの入力として使用することができます。我々の新しい ss-DPMFA モデルは、結晶形態とコーティングに関する追加的な知見を提供し、生態系における他のナノ材料のサイズと形態に特化した高度なハザードとリスク評価への道を開く可能性があります。
環境中に二酸化チタンが蓄積していって取返しのつかないことになる、という問題意識があったのかな。
方法はわかるし、モチベーションもわかるけど正直な感想としては、「二酸化チタン如きにここまでやるか？」。SIが25ページもあるよ。
