Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

OMG: Oh My God!

邦題:オーマイゴッド 〜神への訴状〜
ウメシュ・シュクラ=監督、2012年インド
アクシャイ・クマール、パレーシュ・ラワール、ミトゥン・チャクラバルティー
アクシャイ・クマールは、サルマン・カーンか?と一瞬間違う正統派イケメンの俳優。
この映画の主役はパレーシュ・ラワールが演じる、ムンバイの中産階級オヤジ、カーンジー
カーンジー無神論者だが、日本でいう仏具屋を営んでいる。いや、仏具屋ではなくて、インドの神様、ガネーシャとかシヴァの像や聖水(ボトルに水道水を詰めているだけ)を、マージン乗っけて売っている、なかなかに胡散臭い商売をしているオヤジ。見方によっては有能なビジネスマンともいえるのであるが。
ムンバイに局所的で軽微な地震が起こり、倒壊したのはなんとカーンジーの店だけ。カーンジーは神を相手に訴訟を起こすことにする。

インドで宗教を全否定する映画を作っちゃって、大丈夫なの?と思い、ハラハラしながら見る。
神を相手に訴訟って、実際どうするの?という点も興味津々。事なかれ主義の保険会社社員や、裁判で弁護には回らなかったけれど知恵を貸してくれる有能な弁護士が出てくるのも面白い。
アクシャイ・クマールがバイクに乗り、スーツを着た現代の神、クリシュナになって現れる。いつも微笑んでいて、余裕の表情。時に重要なアドバイスをしぃの、なんじゃこりゃ~。
神を訴えるとは!と最初は周囲から四面楚歌だったカーンジー。しかしTVのトークで巧みな話術を見せ、神に対する本質的な疑問をぶつける真っ直ぐな姿に、人々の心は動かされてゆく。
宗教者に妄信的に喜捨して、自分の人生を(外部にいる、偶像化された神に)丸投げするのはNG。結局、自分の中に神はいて、どうするかは自分が決める、という真っ当な落ちでほっとしたところ。
B級という予想に反して、とてつもない社会派映画でありました。