Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート

青山真也=監督、2020年日本
オリンピックが何とか終わったところで、このドキュメンタリーですよ。
外苑前(青山)という一等地に都営住宅があった。どんなアパートなんだろうという野次馬根性も働き、興味があったのでアップリンク吉祥寺まで。
都営霞ヶ丘アパートは1964年の東京五輪の前に建てられ、2016年に建て替えの為、解体されることになった。
まず、あの一等地にザ・庶民が住んでいることに衝撃。あんな庶民的な暮らしが、あの場所で?一気に親近感がわく。
間取りは2DKで、引っ越し前ということもあるかもしれないけど、家の中がごちゃごちゃ。茶箪笥や長持といった古い家具。想い出(入居当時)の8ミリを、集会所で映写したり古い写真を展示したり。
住人たちがゆっくりゆっくり歳を重ねたのに、大きな流れの中に一気に飲み込まれて、あれよあれよと昔にさよならをしなければならない様子。
右手が障がい2級、左手が7級の男性、一人での引っ越しって?どうやって荷物を運び出すんだろう?と息を吞んで見守った。リアカーに、器用に(と言ったらへんだけど)荷物を載せ、ゴミ集積場に持って行くさまは驚いた。
新築当初からお住まいだったであろう、90歳の女性は、その年齢に全く見えない若々しさ(70くらいかと思った)、都庁に取壊し反対の陳情に行って、心の内を切々と訴えた。行動力に脱帽である。
みんな、寂しいんだが、時代の流れに翻弄されて。それを、ただ、淡々と。やっぱりドキュメンタリーはいいねぇ。