Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

みんなの道徳解体新書

パオロ・マッツァリーノ=著,ちくまプリマー新書
「人を殺してはいけない理由」について,最後の章に書いてある.これは本当に目から鱗だった.
交通事故の死者数目標値があるって,大学の授業(交通工学)で習ったとき私は大人になった気がした.しかも当時は「1万人」という目標.つまり国は,1万人なら車の事故で死んでも仕方ないって判断していたということ.これ知ったとき,すごい衝撃だったよ!ちなみに,今の目標値は4000人ですが…
こういう現実をシビアに見つめ,きれいごとはきれいごと,実際は…という思考回路をちゃんと働かせる訓練すべし!ってのがパオロさんの主張ですよ!

殺人のおもな理由は憎しみなのだから、殺人を減らしたいのなら、いかに他人を憎まないようにするかを教えるのがもっとも効果的です。ゆえに道徳の授業で教えるべきは、いのちの大切さではなく、多様性の尊重です。

だれしも年を取ると,多様性を尊重しなくなる方向に行く,と言ったら言い過ぎかな.「多様になる」ことの定義は「今までになかったものが入ってくる」ってこととして.お年寄りって新しいものに対しては,まず警戒し,文句を言いたがり,そして結局受け入れない…こんな人が多いと思う.国会の議論を聞いてても,身近なシニア世代を見ていても,割と共通している.だから,若いうちに多様性の尊重力をmax磨いておく…(その後徐々に縮小するのは仕方がないとして),そんな教育が大事なんじゃないかな.
アルボムッレ・スマナサーラのことば「私が嫌いな人々も幸せでありますように」「私を嫌っている人々も幸せでありますように」こう心がけ,これを実践していくことが,究極的には戦争のない世界につながるのかな,と思ったことがある.このこととパオロさんの主張はシンクロしているなぁ.