Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学

ジョナサン・ハイト=著,紀伊國屋書店
すっごく面白い.カーネマン「ファスト&スロー」の内容も頭の中で引っ張り出しつつ読む.
ハイトはいわゆる天才肌じゃないものの,迷いながら研究をしている様子がすご〜く良い.(文章上そう見えるだけで,本当は天才なのかもしれないけど!)
・人は,まず直観.その直感に合う理論を後から探す.#だから自分の直観に合わないことを理解するのはものすごく難しいんだ.
・「私たちはなぜ集団を志向するのか」「宗教はチームスポーツだ」.米国のカレッジフットボールの試合は,宗教の最適なアナロジーになる.学生は集団の雰囲気に酔いしれ,悪い酔いによる犠牲者多発.一見非合理そうに見えるこの”儀式”がなくならないのは,「デュルケームのいう低次のレベル(世俗)から高次のレベル(神聖)へと人々を引き上げる.それによってミツバチスイッチがオンになり・・・」この体験が得られるからだ.これが愛校精神の醸成につながり,OBからの寄付金が集まる理由でもある.
・面白いエピソードとしては,これ「(ほとんどが倫理学者によって借りられているであろう)倫理の専門書のほうが,ほかの哲学領域の本に比べ盗まれたり長期未返却のままになったりしているケースが多いことが分かった」