Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

女の子は本当にピンクが好きなのか Think Pink

堀越英美=著,(株)Pヴァイン
スピッツのファンクラブ会報で,草野さんが最近読んだ本として紹介していたので長女が興味を持ち,私も読んでみた.
首を100万回くらい縦に振りながら読む.
ピンクはめんどくさい色である.「可愛い」「女らしい」「エロ」・・・こんなに社会的文脈を帯びる色も珍しい.
うちの場合で言うと,次女がピンクピンクだった時期があり(私オエ〜ってなりそうだった),いまは見事にパステル(紫,水色,ピンク少し),ランドセルはラベンダー色.一方,長女はランドセルの色が絵の具の「あお」だったし,モノトーン&ナチュラルカラーがかなり小さいうちから大好きだった(ただしそんな彼女も4歳の時は例外で,髪ゴムから水筒からパンツまで全部「プリキュア」だったが...).
実は男女の役割分担を最もはっきり(ステレオタイプに)させたがるのは意外にも生物的男女差があまりなさそうな6歳まで.そういえば,私にも思い当たるが男子はモモレンジャーに割り当てられるの死ぬほど嫌がったわ.
ピンクが女の子の色となった歴史.19世紀フランス→20世紀アメリカときて,日本もその影響を受けた結果,「ピンク」のイメージが今に至る.
ウーマンリブでの揺り戻しあり,英米ではピンクの使われ方見直しというか多様な視点でピンクが語られるようになった21世紀.子どもに多様なおもちゃを与えよう運動(←バービーの職業がファーストフード店店員かモデルしかないってどういうこと?レゴではどうして男子の好む消防署セット,建設現場セットが多い?という疑問から始まってる)から,今の日本で言うリケジョ養成の視点にピンクっぽい要素を踏まえたレゴとか国立公園のレンジャーや科学者コスプレバービーとかが登場.こういう自由なスタンスって,アメリカよりもむしろイギリスの中産階級が大事にするものなんだ,と気がつく.
「ダサピンク」と「イケピンク」の違いについても面白かった.ダサピンクは,客体としてのピンクのイメージに引きずられて,他人(特にオジサン方)から押し付けられて使わざるを得ないピンクのこと.イケピンクは,上記のようないろんな葛藤を経てなお,自分で「好きだから」と身に付けるピンク.ここまで考え方が成熟すれば生きやすい社会になるんじゃないかな〜と思うことしきりだった.
しかし,憂うべきは日本の現状.やっぱり日本は「男性向け職業」「女性向け職業」のレッテル貼りが他の国より顕著みたい.そしてピンク女子は高収入&安定した職業につく確率がそうじゃない女子より低い.日本の女性の年収が男性に比べて低いのは,学歴が低いことに加えて,大学卒業後も年収が相対的に低い職業を志望する傾向にあるから,という整理.なるほど.
数年前に,私も「プラレールから理系女子について考える。」という文章を書いていたっけ.
「周到に準備をして,努力して結果を出す」仕事に就くように,子どもたちを仕向けないとならないなあ.
話は男女ともに求められるコミュニケーション力にもおよび,驚いたのは妖怪ウォッチの主人公がアサーティブコミュニケーションの達人だという切り口.いろんな悪さをしでかす妖怪たちの言い分を丁寧に聞いてやり最後は妥協点を見つけて和解する,という.キャラも単純に善玉悪玉じゃなくて妖怪の中にも癒し系がいるとか・・・なんか妖怪ウォッチ観たくなっちゃったよ?

最後にほっとする話.アメリカの少年が学校にピンクのシャツを着て行ったら「ゲイ」「オカマ」といじめられ自殺未遂.それをなんとかしようと思ったクラスメートが激安ショップでピンクのシャツを50枚ほど買って,学校に着て行ってくれる男子募集とやったらいじめがピタリと止まったと.ピンクの持つイメージから自由になり,本当に好きなら男女とも堂々と着る,そういう時代にならんことを.
ちなみに,私は小さいころピンクほとんど着たことなくて,最近になってようやく,自分の服に差し色的に使い始めました.私もイメージから離れて「綺麗じゃん」単純にそうやって選んでます.