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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

幻の光

是枝裕和=監督,1995年日本(テレビマンユニオン
是枝監督作品コンプリ計画を鋭意遂行中.これが劇場長編では最初の作品だと思う.
客観的にはなかなか辛い設定の話.最愛の夫を自殺で失った女性が主人公.子どもが生まれたばかりで,一番幸せなときに,なぜ・・・なぜあの人が,という気持ちからなかなか立ち直れない.
しかし,そのことはあまりストレートに語られず,わかりにくかった.面白かったとも言えない.あまりにも淡々と,主人公の日常と変化,そっと見守る周りが描かれる.
主人公が心のなかに重いものを抱えているということは最後のシーン,「幻の光」を見たときしか表現されない.周りはあまりに親切で優しい.一人息子は素直で,継子の娘は主人公(継母)が大好きで.再婚した夫も温かい.
能登の海と,葬列と送り火.尼崎の人間臭い町.神秘的な風景(海に吸い込まれても?帰ってくる海の女とか)と地に足がついている人間の営みが交錯している.ああ,ストーリーは殆ど無いので説明が難しい.