Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

幕が上がる

平田オリザ=著,集英社文庫
高校演劇の雰囲気を知っている者にとっては,ただただ泣ける.
文章自体はひねりがなくて説明文ぽいが,「演劇入門」にも書かれていた内容をケース・スタディとしてノベライズするとこうなる!ってことよね.たとえば良い演劇を作るために伸ばすべきは,役者の演技力じゃない.抑えるポイントとかやり方がちゃんとあって,それを実例の中で(主人公の高校生たちが変わっていく,というプロセスを描写することによって)伝えている感じ.
また,脚本を書くときは,まだ何が言いたいか見えていなくて,舞台で作っていくうちに言いたいことが見えるのだ,という主張も「演劇入門」に書かれていた.その「見える」感覚,”真実を掴んだ!!!”という感覚が堪らないの.その感動が忘れられなくて,人は舞台を作り,そして立ち続けるのだと思う.