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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

はじめての福島学

開沼博=著、イースト・プレス
仕事柄、双葉八ケ町村をそらで言えるようになって2年くらい経ったので、そんなに目新しい知識はないものの、基本的事項を間違えて大恥をかかないように読む。
・農業関連では、米の管理(検査や基準値設定)が他の食材より厳密である(逆に言うと、他の食品はそれほど厳密でなくて良い)理由がちゃんと書いてあったので、すごいなと。そう、米は「毎日」(人によっては三食)、「同じ場所でとれたものを」食べる可能性がある、日本では唯一と言って良い食材だから。その分、放射性物質が高いものを食べ続ける可能性が、他の食材より大きいから。そこはポイントとして押さえようよ、というリスク管理上大事な考えかた。
・25の質問で間違えたのは、広野町の人口。ほとんど住んでいないと思い込んでいたけど、震災前5500人に対し、震災後5000人。その内訳は半分が除染の作業関係者ということ。ちなみに、今地図を調べたら、現在いちえふ内部で働く人の基地となっているJヴィレッジって、広野町楢葉町の両方をまたぐ位置にあるのね。あ〜、なんてわかりやすいんだろう。
・福島で言われている問題は福島特有でもなく、震災後特有のものでもない。以前から日本全体に言えることだった、これを見誤りたくない。私も山形の高齢化が加速する地域に住んでいて、実感ありあり。人口減少は福島より山形のほうがヤバイというのは、ぐうの音も出ない。人口の減り方を地図上で時系列的に見ていくと、雪の結晶が溶けていく様子に似ているんじゃないか。細かいところ(中山間地域の奥まったところ)に住んでいる人が街道沿いなど相対的な町に下りてきて、その「町」から「市」に下りてきて、のフラクタルな感じ。人はそんなにいきなり東京に行っちゃったりしないけど、県内の、相対的に人口の多いところに流れる、それはこれからも加速するような気がする。