Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

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ウォン・カーウァイ=監督,2004年中国(上海)・香港(+フランス,ドイツ)合作
久しぶりのウォン・カーウァイ.平たく言うと,主人公チョウ(トニー・レオン)が過去に関係のあった女達を回想しつつ近未来小説を綴っていく物語.その小説中の主人公を木村拓哉が演じている.
ウォン・カーウァイ映画を捕まえて,ストーリーがないじゃん,とか言うのは野暮というもの.空気感を楽しむための映画である.1960年代後半の香港,シンガポール.夢かうつつか,それは煙の中,という雰囲気のコピーね(ちなみに,出てくる人皆煙草吸っていて,すっごく体に悪そうなわけだが).アンドロイドとの恋とかも,正直今ひとつ理解不能
で,グダグダストーリーのなかで,ひたすらチョウがモテモテなのである!!ここに異論がある諸氏も多いと思うが,それは置いておくとして,この映画はある種”美女名鑑”としてとらえたほうが良いだろう.女性はひたすら美しく儚い.チャン・ツィイー章子怡),フェイ・ウォン王菲),コン・リー(鞏俐)がメインで,あとカリーナ・ラウ(劉嘉玲).マギー・チャン張曼玉)が一瞬だけ出演.あのね,どんだけ美女を集めれば気が済むんですか・・・
あと,木村拓哉の演技は普通かな.この役なら金城武より木村くんのほうが合うから,ってくらいの軽い起用のような印象を持った.
花様年華」は観ていたと思っていたが,映画日誌を確認したらまだだったので今度観よう.

最後に,2004年における「香港映画」の位置付けについて.2004年,香港はすでに中国の一部になっているから,製作国は中国一つで良いのかもしれない.しかしタイトルバックや映画そのものを見てて,映画製作ビジネスでは(本土の資本を取り込みつつも)香港がまだ独立して扱われていることを薄々感じる.さらに10年経った最近は,香港と中国本土の区別はなく制作されているようだ.日本から見ると実情がわからないが,とにかく中華社会のシステムがダイナミックに変わっていくことに高揚感を覚える.私はやっぱり日本向きのメンタリティではないのかもしれない(笑).