Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

フルサトをつくる 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方

伊藤洋志×pha=著,東京書籍
私も自慢じゃないけど,暮らしの拠点を2箇所持っている.著者と同一項で語るのはおこがましいとは重々承知のうえで,この本には大いに頷く.
考えてみれば,私は父の転勤で全国いろいろ移住しており,ひとつのところ(県)に5年以上住んだことがない.精神的には複数の拠点を持っていたというか,まだ小さかったから根無し草だったとも言える.友達と最初は文通していたけど,そのうち切れちゃうしね.インターネットが発達すると,適度に根を張りつつ,多拠点居住が可能になったって,ほんとうに良い時代になったものだ.
夫の実家,山形県の人口三万人の市の田舎っぷりは笑っちゃうくらいだけど,とにかくここにいれば生きていくことには困らないな,と実感させてくれる.この本の事例の熊野のように,一から作る,というわけでないからシガラミはたっぷりだし,「隣保」のさまざまな義務も多いけれど,住むのは楽しい.ずっと住むのではなく,住んでいる日数に応じて義務を果たしていく,というの大事だし楽しそう.ただそれだけ.
パートタイム労働者じゃなくて,パートタイム住民いいと思う.
とにかく,みんなひとつのことをやり過ぎてる,のめり込み過ぎてる.父親になったばかりの人ですら,満足に子育てしてないじゃん?ドイツ人とか,普通の会社員が家を自分でコツコツ修理したりしてるんだぜ?もっと自分の人生をセグメント方式にして,いろいろ切り替えて良いとこどりで生きていこうよ.人生2倍になり,出会う人の人数は,人生で3倍になる気がする.
そして,うちの子どもたちには一度都会の生活をさせよう,戻ってこない時は,その時考えよう,と思うわけである.