Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

人口減社会〜自治の時代がやってくる

田舎での生活は,いろんな点で勉強になっている.
山形(長井)に住んでいると,こどものPTAはもちろん「○○町内会」「○○保存会」「○○運営委員会」「○○森林組合」などやったらめったらいろんな組織があって,その会合に出なければならない.「○○森林組合」はともかく,町内会の定期総会は委任状を出すのも憚られるくらい,出席がデフォルトだ.意見を言うよりも採決の挙手,拍手要員という頭数合わせではあるが,とにかく,定足数の縛りがあるためその場にいることが重要で,しかも誰がいないか即座に見ぬかれてしまうという世界である.
年度終わりと年度初めは総会だけで週末が潰れまくるので,正直「みんなよく持ってるなあ」というのが素直な感想である.つくばでは,子どもがいるのを理由に,唯一参加していた自治会の集まりも委任状を出していた.それに比べると,差が歴然としている.
そして,いとも簡単に,会合の長や副,会計や監査という役が自分に回ってくるから,マジで侮れない.全員「長」になる環境が普通にある.全員ですよ,学歴とか関係なく.その時たまたま長をしていたというだけで,予算の使い途や国の補助金の使い途を考えることもあり,おおげさに言い換えれば「政策立案に主体的に関わる」.予算申請書を,あのしちめんどくさい役所フォーマットを,「書いたことある」という人は非常に多い.もちろん得手不得手はあるが,経験のチャンスは都会よりずっと多い.
人が少ないってそういうことなのである.
これってある意味とっても民主的である.日本って中央集権的かと思ってたけど逆で,地方に行けば行くほど,自治が根付いている.この間,福島の某会議を傍聴していても思ったけど,自治会という場で,地元の人が意見を出して決めたことにはみんな従う,のである.でもね,自治って聞こえはいいけど,めっちゃしんどいことですよ!
面白いのは,正論を言う人の意見が通るわけでもないし,多数決で誰かが血を流して決まるわけでもないこと.長年の信頼関係と,損して得取れみたいな駆け引きがあった上での「満場一致」ってパターンが多い.
遅かれ早かれ,首都圏も人口減の余波でこうなるんじゃないのかな,とちょっと思っている.