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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

生物多様性とは何か

井田徹治=著、岩波新書
これだけ新書をたくさん読んでいるにもかかわらず、岩波新書は久しぶりだ。どうも、岩波新書の地位は相対的に低下している気がする。

安井先生のHPで紹介されていたから読んでみたけれど、今一つだ。内容が総花的というか、「生物多様性とは何か」を問われても、答えられるようになったとは思わない読後感。それほどまでに「生物多様性」とは多様なのだ。
よかった点は、1)自然に対する畏敬の念がよりいっそう深まったこと。単純に予測できないようなメリットを、我々は自然から享受している、このことを改めて思った。2)GDMグリーン開発メカニズムについてわかったこと。明らかにCDMのアナロジー(パクリともいう)だが。それと関連して、カーボンオフセットに対する胡散臭さが少し消え、意味があることだという風に考えが変わったこと。
不満に思った点は、1)どうすればよいか、という処方箋が書いていないこと。2)ホットスポットの地図がついていないこと。地名が頭からどんどん抜けていくので、読んでいる時間がもったいなく感じたほど。ホットスポットの紹介本でないことはわかっているが、自然に対する畏敬の念を高めることは、地理(地域)、地域気候に詳しくなること(「なるほど、ここかぁ」的感覚)と不可分だと思っているので。