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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

誰が科学技術について考えるのか―コンセンサス会議という実験

小林 伝司 (著)、名古屋大学出版会

コンセンサス会議のドキュメンタリーと思うと、一級の本かな。この本で最も貴重な記述は、市民パネラーの生の声。なぜか泣いてしまった。
それ以外、特に著者が考察している部分(第3章)は何か形式張っていてイマイチだな、蛇足だなあと思っていた。著者の専門は科学哲学なので、何だか分かりにくい理論に走りたくなる気持ちも分かる、けど、これはないよね、と思いつつ読み進む。最終章に何とか全体をまとめていた。文章がうまいせいか、パーツパーツ(科学哲学的考察)は、まあまあ生きていたように思う。

コンセンサス会議について、現在では結論めいたこととか、意義とかについては語れないけど、10年後は日本ももっとよくなっているよ、と思わせる1冊。