Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

コンパートメントNo.6

ユホ・クオスマネン=監督、 2019年フィンランド・ロシア・エストニア・ドイツ
セイディ・ハーラ、ユーリー・ボリソフ

1990年代のモスクワ。フィンランドからの留学生ラウラは恋人と一緒に世界最北端駅ムルマンスクのペトログリフ(岩面彫刻)を見に行く予定だったが、恋人に突然断られ1人で出発することに。寝台列車の6号客室に乗り合わせたのはロシア人の炭鉱労働者リョーハで、ラウラは彼の粗野な言動や失礼な態度にうんざりする。しかし長い旅を続ける中で、2人は互いの不器用な優しさや魅力に気づき始める。(映画.comより)

今年最高の一本。少なくとも今年のベスト3に入る。
ストーリーも好みだが、何よりも1990年代後半ロシアの寝台車のリアル。これを見るだけでも十分価値ある。
ロシア語とフィンランド語のコントラストがいい味を出している。

1990年代のロシア。モスクワーサンクトペテルブルクを経て、北極圏にあるムルマンスクまでの鉄道旅行の話。恋人(同性)と行くはずだったのに、急に行けなくなったと言われ、しかも彼女はそれがあまり残念でない様子。同じコンパートメントになった男もムルマンスクまで行くようだが、タバコは吸う、酒飲んで酔いつぶれる、口は悪いで最悪。ところがところが、旅をするうちに、少しずつ関係性が変化していくんだよなー。途中、フィンランド人の若い男性と疑似的な三角関係になったみたいなのも、良かったな。しかも意外な展開が待ち受け、二人の関係はさらに変化する、良い意味で裏切られた。しかも温かく裏切られた。
車窓は退屈だが、そう、こういうロードムービーが観たかったんだよーと膝を打った。
ソ連時代の車両。寝台車がマジF○CK。水の出ない洗面所。コンパートメントでタバコが吸えた!?私だったら最初の停車駅で絶対降りてる。
途中の町で一泊するのも謎。寝台車なのになぜ(燃料補給の関係かと思うが)。「愛の不時着」の北朝鮮の列車もアレだが、ロシアの鉄道、マジヤバい(語彙力)。

期せずして、「さらば冬のかもめ」に続き、鉄道でのロードムービーに縁があるこの頃。私もムルマンスク行ってみたくなった。