Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か

平田オリザ=著、講談社現代新書
コミュニケーションとは、きちんと説明すること。説明しなくても察することではない。
日本の大部分の職場ってのは、「技術は目で見て盗め」「会社の飲み会に出ないとは何事か」と多くの時間を共有することで、明確な説明がなくても(感覚を)共有して分かり合えるようになっていくこと、それこそがコミュニケーションだと思われていた節があって。
いや、マジそういうの正直困るんですけど、と思っていて、やっぱりそうだよなと平田オリザさんに背中を押してもらった感。
コミュニケーションのための技法(わかりあえていない者同志が、どうやって背景情報:コンテクストをすり合わせていくのか)は存在する。確かに存在する。しかしそれは学校では具体的に教えてくれない。演劇を作っていくプロセスを題材に、コンテクストをすり合わせるという作業を具体的に見せてくれているところがポイント。

この本にかぎらず、平田オリザさん全部そうなんだけど、表現の一つ一つが大変わかり易い。言葉もストレート(しかし、全然嫌な感じがしない)。オリザさんがこの表現技法を獲得されているのは、まさに才能なのでしょうか。それとも、私もある方法に則って訓練すれば、こういう文章を書けるようになるでしょうか?