Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

蜘蛛女のキス

エクトール・バベンコ=監督,1985年ブラジル・アメリカ合作
レンタルDVDで発見.恐らく,レンタルで観ることができるようになったのは最近だと思う.私が中学生の頃大ヒットしていて,その頃から観たいなあと思っていたが,今観て良かった.あと,この話は戯曲も流行っていて,うちの高校で上の学年が文化祭のクラス演劇でやっていた(それも見そびれた).高校の頃って,変な言い方だが,同性愛は憧れだよね.
で,性犯罪で捕まったゲイと政治犯で捕まった若き革命家が,刑務所の部屋で静かに友情を深めていく話.さすがに,これは中学生ではわからないだろう.人の優しさや生き方に純粋に惚れ込む,というのは性別に関係ないことだなあ,とゲイの話を見るたびにいつも思う.乾いてザラザラして,どこか投げやりな感じが通奏低音のように画面に流れている,この点は「オール・アバウト・マイ・マザー」(←スペイン映画)ぽかった.ラテン社会の表現方法なのだろうか.
この映画も銃,発砲シーンがたくさん出てきて流血もたくさん.ひぇ〜っとなる一方で,舞台となったブラジルにはなぜか強く惹かれる.南米って,私はボリビアとペルーしか知らないけど,原始的な人間の姿が強さも弱さもだだ漏れしているんだよね.その生身で熱い感じ,逃げも隠れもできない感じが日本とぜんぜん違うのよ.その刺激が,だんだん心地よくなってくるんだよねぇ.あー,ブラジルも行ってみたい.