『日本の論点』編集部 (編) ,文春新書
すごいと思った議論もそうでないと思った議論もあったが(「そうでない」と思ったのは私の頭がついていかなかっただけかも),聞いたことのない意見に触れたり,そもそも全く関心のないトピックに触れることができたりと「へぇ〜」満載の一冊.
面白いと思ったのは,「直接税(所得税)を廃止し,間接税(消費税)を中心とすべき」(←竹内靖雄氏)か「間接税は結局低所得者層にしわ寄せが行くだけ」(←八田達夫氏)か,という問題.両者とも論点が明快で,がっぷり四つ,という感じ.どちらも正しいので(正しそうなので)唸った.
もう一つ面白いと思ったのは,為末大氏の主張「日本人が陸上短距離走で強くならないのは欧米の練習法をそのまま真似するからだ」.これは目からうろこで,人と同じメソッドで勝負しても上達するとは限らないという指摘.私も身につまされるものがあった.おりしも今日,本屋で立ち読みした西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」も「最下位には最下位なりの戦い方がある」と.・・・同じ論法だよ!こういう共通点を発見してどきどきするのも,読書の楽しみである.