Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

華氏119

マイケル・ムーア=監督、2018年米国
大好きなマイケル・ムーア華氏911とほとんどタイトル同じじゃん!!!という突っ込みを最初に。119は、トランプ大統領誕生の11月9日のことらしい(笑)。
トランプ在職中に観なければーと思っていたが、映画館では叶わず、せめて政権が交代したら観なければー!ということでNetflixにて鑑賞。
2016年にトランプ政権が誕生することをムーアは見事予想していた。
・冒頭の民主党大会での、ヒラリー推しの人々の様子。それが数時間後にあれよあれよと敗北。
・同じく民主党大会で、なかったことにされるバーニー・サンダース支持者の声。ヒラリーが選出されるように、捻じ曲げられていたのだった。正義の国アメリカ、どんな意見でも聞く耳をもってくれる、と思ったら違う。
・2016年11月の大統領選挙では、実に1億人が、投票に行っていないorどちらの党の支持も表明していない。
ドナルド・トランプ氏の「Make America great again!」は、これを言い始めたのがトランプが初めてじゃない。ロナルド・レーガンも、クリントンも言っていた。
等々、全く知らないことだらけだった。。。。
・トランプ勝利の前兆はミシガンにあり。ミシガン州知事の策略によるFlint, MIの水道水源の戦略的切り替えと、健康被害多発の関係(こちら、とかこちら。私も自力で情報を追っていたけど、住民のリアルな声、健康調査に関わる医師の苦悩は聞いたことがなかった)。この問題に当時のオバマ大統領はどう対応したのか?ヒトが飲む水道水は汚染されても、工場(GM)の洗浄水はきれいなものを使うとか、ギャグなの?
大変わかりやすい映画で、クスクス笑いながらの鑑賞。これは、編集の工夫によるところが大きい。しかし要するにエンターテイメントなので、どこまでが本当なのか不安になる。米国事情に詳しい人に、マイケル・ムーアの映画は一般にはどのように受け止められているのか聞いてみたい。「ネタ枠」なのか。いずれにせよ、わかりやすいものは危険なんだよなー(と思いつつ、面白いからついつい観ちゃうのよね)。
もちろん、希望の持てる映像もある。若い世代が銃所持No!を訴えて立ち上がること、トランプのナショナリズムに与しない新しいうねりがあること。この辺はアメリカの希望。最後、ほろりと泣いた。

今までマイケル・ムーアの映画をかなり見ていたにもかかわらず気が付かなかったのが、BGMの的確さ、選曲の面白さ。
ワーグナーワルキューレの騎行」、モーツアルト「レクイエム」、「葬送行進曲」、場面にぴったりで、それだけでも笑える。