Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

チャック・ノリスvs共産主義

イリンカ・カルガレアヌ=監督,2015年イギリス・ルーマニア・ドイツ=合作
ルーマニアのドキュメンタリー!Netflix限定コンテンツ。
おススメ!!!!!
チャウシェスク独裁政権下、西側メディアが禁じられたルーマニア。自由世界を見せてくれたのは,密かに吹き替え付きで出回っていた外国映画のVHSだった。
秘密警察の目を盗んで西側の映画を手に入れた人吹き替えた人,孫コピー孫コピー(だから,画質は最悪でぼんやりしている!)を見て自由への希望を抱いた人々。うまい具合に群像劇になっている。
一般人へのインタビューが秀逸。胸熱で感涙。
吹き替えは一人で,男性もギャングも女性も美しいヒロインも全部こなす。この超人的な働きをしたのはイレーナという女性。党の通訳だった(正真正銘の政権寄りだった)のに,アルバイトで西側の映画を見ながら同時通訳,そのルーマニア語を録音。こういう,見つかったら殺されそうなミッションを遂行した理由が「私も映画を観たかったから」とあっさりしすぎ。何なの,映画ってこんなにも力を持っていたの?
国民は誰もが彼女の声を知っているが,当然,姿を見た者はほとんどいなかった。雪解け民主化後,このドキュメンタリーでイレーナ本人もインタビューに答えている。ああ,姿を現すことができたのか!と,これもまた感涙。